浅草の老舗履物屋・辻屋さんのおかみさん、富田里枝さんとごいっしょに進めている、考現学のアプローチ「浅草暮らしのお話会」、3回目は「浅草の保健室」としてがんばっておられるネオ薬局のおかみさん、辻美佐子さんでした。

ネオ薬局はこんなお店です。

 

5歳で両親と6人の姉兄とともに千葉から駒形に引っ越してきた辻さん、田原小学校では「カミナリババア」があだなの、活発で正義感あふれる子どもだったとのことです。

小学校、中学校のころの友だちとの関係をうかがうと、「やはり三社祭があることが大きい」。1960年代の田原小学校でも、今日まで続く運動会の「町会対抗リレー」があったそうです。保護者だけでなく地域の人も巻き込んでの運動会の姿は、町会単位の神輿が出る三社祭のある浅草ならではなのでしょう。

のちに結婚したネオ薬局の跡取り息子であるご主人とは、中学校の同級生。老舗の扇子屋の息子に教えてもらった祭り半纏の着方は、「やはり他の人とはまったく違った」そうです。

2000年代になるくらいまでは、同じ通りにも何軒もあった個人経営の薬局は、大型チェーンのドラッグストアが次々にできるなか、姿を消していきました。地理的にも、3軒のドラッグストアに囲まれたネオ薬局が、しっかりと商売を続けられているのは、辻さんやご主人が、地域の仕事をしたり、お得意さまへの細やかな話し相手になっているからだといいます。

最近の話では、胃薬を買い求めたお客さまがその場で水なしで飲んでいる姿を見て、「お水なしだと胃によくないですよ」と教えてあげたエピソードがありました。長年、水なしで胃薬を飲んできたお客さまは、自分の胃の調子が悪いのは薬の飲み方のためかもしれない、と気づかれたとのこと。

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次回は、町の保健室としての仕事ぶりを、もう少し詳しくお聞きする予定です。