生活哲学学会・浅草サテライトで、第1回「暮らしのお話し会」がスタートしました。お話は、4代目浅草芸者の乃り江さん。聴き手は辰巳でしたが、それぞれが乃り江さんに聞きたいことやご自身の経験を話しながらのお話し会となりました。大学生であり俳優でありながら浅草の車夫でもある、というイケメン男子がきてくれたことで、また場が盛り上がりました。

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乃り江さんは、ロスアンジェルス生まれのトリリンガル、そして大学在学中にこの世界に入ったという経歴の持ち主です。切れ味のよい語り口と豊富な話題は、さすがでした。

乃り江さんは浅草を、「濃厚な人間関係で、いごこちがよい」と言います。町内の地縁血縁がわずらわしいとされるのが戦後の日本でしたが、乃り江さんは「そこが、よい!」と。たしかに、乃り江さんのお話は、地縁血縁関係をたどりながら繰り広げられます。

祖母の妹である大おばさんが、ギター芸者をしていて、大人気だったというお話。そのギターは、祖母の弟がギター弾きであり、ダイナブラザーズの川田さんから教わったから、妹にも本格的なギターを教えることができた、とのこと。

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また、乃り江さんは4代目で、祖母が料亭をやっていたことから芸者さんたちにもかわいがられ、この世界に入ったときにはお姐さんたちに、遠慮なく仕込まれたそうです。

お返しの品に、他の町のデパートで買った品を用意したら、「浅草で買いなさい。デパートを使うなら浅草松屋にしなさい」とたしなめられたといいます。乃り江さんによれば、地名がつく花街は東京に6つあるそうです。柳橋・芳町・新橋・赤坂・神楽坂・浅草。だから地名を看板に商売をしている誇りと、浅草で商売させていただいている恩があることを、強調しておられました。

商売の街だから、外食も多く、「だから浅草には喫茶店が多いし、モーニングをやっているでしょう? 昼の2時くらいまでモーニングをやっている店もあります」だとか。そして、辰巳もときどき経験しますが、旦那衆やおかみさんと会うときは、近所の行きつけの喫茶店が多いのです。「商売をしているし家は狭いから、人と話すなら家にあげずに、外で会うのよ」。つまりは、町ぐるみがひとつの家、ひとつの大所帯のようなのですね。

それが、「商売」というドライな経済活動でありウェットな人間性もからんでくる糸によってつながっているから、必要以上に干渉しあわない風通しの良さや、新参者を受け容れる軽やかさがあるのかもしれません。

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次回は2月ごろを予定しています。

浅草のお話し会に興味があるかたは、生活哲学学会 info@lifephilosophy.jpまでご連絡ください。